アパレル業界も不況で、夏のセールもどんどん前倒しになっている傾向。服を売りたい! という店員の切なる願いは今も昔も変わらない。それ故に、時にはわがまますぎる客に振り回されることも……。1980年代、キャリア3年目だったブティック店員の嘆きを聞いてみよう。(女性セブン1988年11月3日号より)
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閉店まぎわで、もうかたづけ始めているのにダダーッと駆け込んでくる客ってイヤ。私たちもつい「きょうの売り上げ目標まで、あと5万円たりない」と考えちゃうから、愛想よくしちゃう。すると、調子にのって、店じゅうの洋服を着てまわって、いまにも“お買いあげ”って感じ。だって「この店、7時までなのよね」なんていうんだもの。
それで「またこの次にするわ」なんていわれてごらん。着せてやった分、私が残業した分、金よこせっていいたくなるから。でも、このあいだのお客から見たら、まだまだかわいいわ。
1時間ねばって、やっと8万円のスーツを買ってくれたのはよかった。11号ならスンナリ入るのに、9号を“お直し”にしたのもまあ許そう。お客様は神様だから。
手付金を5000円だけ入れて、残金は品物と引き換え。それもないことではない。but……1週間たっても、2週間たってもこない。たまりかねて電話をしたら、「あなたの言葉遣いがどうしても好きになれないの。だから洋服もいらないわ」ときた。もうアングリよ。