竹島にほど近い鬱陵島視察に訪ねた日本の国会議員3人が「入国拒否」された直後の8月上旬に韓国に乗り込み、鬱陵島・竹島取材を敢行した報道写真家の山本皓一氏が、鬱陵島に入るまでの緊迫の状況を振り返る。
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韓国東海市の墨湖港――晴れ渡る青空を仰ぎ見る余裕もなく、私は停泊中の鬱陵島行きフェリー「オーシャンフラワー号」に乗り込んだ。乗船チェックではねられたら一巻の終わりだ。息を潜めて船に乗り込む。無事にチェックを通過。
ホッと胸をなでおろしたのも束の間、借りたばかりの携帯電話が鳴った。この番号を知っているのは、乗客名簿を見ることができる海洋警察官しかいない。いきなり日本語で質問が飛んできた。
「あなたの国籍は?」
「……日本人です」
「何をしに鬱陵島へ?」
「釣りなどをしに行きます」
「鬱陵島で、何か政治的な活動を計画していますか?」
「いいえ」
「今は韓国と日本の関係が不穏になっています。何か問題が起きると大変ですから、十分に気をつけてください」
電話を切ると、全身から汗が噴き出してきた。
※SAPIO2011年10月5日号