境界線はいったいどこにあるのか――。
9月4日と8日、千葉県で立て続けに2人の男が逮捕された。容疑はいずれも「迷惑防止条例違反」。両者ともに、電車内で女性の姿を“盗撮”したことによるものだ。しかしこの両事件、寝顔、上半身という違いはあれど、スカートの中や下着など、隠れた部分を撮ったわけではない。
このニュースに関して、ネットでは「上半身を撮影しただけで逮捕だなんて」「実名報道は厳しすぎる」といった驚きの声が上がっている。実際に、街角でスナップ写真を撮ったり、万が一、間違えてシャッターを押してしまった場合はどうなるのかと心配になる人も多いだろう。
「迷惑防止条例」とは一体どんなものなのか。千葉県の迷惑防止条例第3条には、「公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥(羞恥)させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない」とある。要するに、相手の女性が恥ずかしいと思ったり不安を覚えれば、その時点で「アウト」ということなのか。同様の条例は全国にもあり不安は増すばかりだが、千葉県警・子ども女性安全対策課の担当者は次のようにいう。
「今回の逮捕では、携帯を見ると、他にも数人の女性の胸元などを撮影した写真が出てきたり、現行犯逮捕時の写真も連写で撮られていたものです。これは写真を撮った目的が卑わいなものであり、明らかに県が定める迷惑防止条例に違反しています」
つまり、卑わいな目的で写真を撮り、結果として相手に不安を感じさせたことが問題で、スナップ写真や間違えてシャッターを押した場合は、条例違反にはならないという説明だ。
※週刊ポスト2011年9月30日号