東日本大震災では内陸部でも発生した液状化現象。40年以上前から液状化の研究をしている関東学院大学工学部教授の若松加寿江さんによると、液状化は同じ場所で繰り返し起こる可能性が高いという。そして、もうひとつ、液状化の危険度を示す指標になるのが、地名だという。若松さんはこう説明する。
「地名はその土地の成り立ちを表すことが多いんです。例えば、『池』や『沼』などがつく土地は『低湿地』を、『新田』は湿地帯や荒れ地を新しく開墾した『田んぼ』を表しています」
液状化の危険性が高いのは、「地下水位が高い(浅い)場所」「若齢な地盤の場所」「砂質地盤または地下水位が浅い砂質地盤の場所」など。「池」や「沼」がつく地名は、それらの場所に当てはまることが多いというわけだ。
しかし、なかにはわかりづらいものもある。たとえば「緑」がつく地名は、埋め立て地・造成地を示しているのだという。若松さんは以下のように解説する。
「緑は、造成地なので若々しいイメージの良さを狙って命名されているのだと思います。東京都足立区千住緑町、新潟県長岡市緑町など全国の12の緑町に過去の液状化履歴があり、東京都墨田区の緑町では、1894年の東京湾北部地震と1923年の関東大震災の両方で液状化が発生しています。イメージが良い町名、おめでたい町名は新しい土地ですから要注意です」
「日の出」なども同様で、東日本大震災では千葉県の浦安市、船橋市、茨城県潮来市で液状化が確認されたという。未来の液状化を予測することはできない。だが、歴史から学べることはたくさんあるはずだ。
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号