自他共に認めるウルトラ嫌煙派が厚生労働大臣に就任したことを受けて、JT(日本たばこ)が対応に追いまくられる事態となっている。ジャーナリストの須田慎一郎氏が報告する。
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“ウルトラ嫌煙派”とは他でもない小宮山洋子厚労相。9月5日の記者会見で、たばこ税を増税して1箱700円程度とすべきとする“個人的見解”をいきなり表明した。
しかしこの小宮山発言に驚いたのが官邸やたばこ税を所管する財務省。
まず官邸サイドは藤村修官房長官がたばこ増税は政府方針ではないことを強調し、返す刀で安住淳財務相は「(たばこ税の)所管は私だ。小宮山先生はたばこ嫌いなんですよね」と一刀両断。小宮山厚労相は、閣内で十字砲火を浴びる格好となった。
結局、その翌日になって小宮山厚労相自身が「(厚労省は)700円に上げると決める省ではない」と一転して発言を大きくトーンダウンさせ、とりあえず事態収拾が図られた。
「しかし小宮山大臣は、まったく納得していないようだ。煮え湯を飲まされた腹いせに、厚労省の事務方に対して、秋の臨時国会に職場での受動喫煙防止を目的とした法案(労働安全衛生法改正案)を提出するよう指示してきた」(厚労省幹部)
この法案は、菅内閣時代に、厚労副大臣だった小宮山氏が旗振り役となって進めてきたもの。ここでいう“職場”には小規模な飲食店なども含まれ、影響が大きい一方で、その効果も不明なため、法案提出はペンディング状態に置かれていた。財務省幹部はこう話す。
「まさにたばこ業界や喫煙者に対する嫌がらせ以外の何ものでもない」
JTとしては、とんだとばっちりを受けた格好だ。そのJTの幹部は心情をこう吐露する。
「そんなにたばこが問題であれば、政府が保有するJT株を早々に売却して、完全に民営化してほしい」
※SAPIO2011年10月5日号