議員会館にほど近い「パレロワイヤル永田町」といえば、自民党全盛期には金丸信氏、渡辺美智雄氏をはじめ派閥領袖が個人事務所を構え、「政界の伏魔殿」と呼ばれた。しかし今、このマンションに事務所を置くのは、鳩山由紀夫・元首相、山岡賢次・国家公安委員長、小沢グループ「一新会」など民主党ばかり。まさに政権交代の明暗を象徴するビルだ。
自民党の派閥有力者は、野党転落後、次々に「外事務所」と呼ばれる個人事務所を閉鎖し、派閥事務所も大幅に縮小した。かつて赤坂プリンスホテル内に広大な事務所を構え、最大派閥の威光を放っていた町村派(旧森派)も、事務所を雑居ビルの1室に移し、派閥議員全員が入りきれないため、会合は議員会館で開いている。同派議員は落胆の表情を隠せない。
「盆暮れに派閥事務所で森会長から300万円くらいのモチ代、氷代(※自民党派閥の慣習として、夏と冬に所属議員に配られる活動資金のこと。冬は「モチ代」、夏は「氷代」となる)をポンと渡された与党時代が夢のようだ。党からの年間1000万円の活動費は700万円に減らされ、この夏は氷代も半額の100万円になった。冬のモチ代は出ないかもしれない」
自民党事務局が内々に調査したところ、所属議員の事務所スタッフは平均3割減ったという。党本部での幹部の会合でも、定番だったカレーライスやサンドイッチは出なくなった。党職員の給料は25%カット。一時はリストラ案まで飛び出した。
※週刊ポスト2011年9月30日号