「投資で1億円」を目指そうと考えるときに、その大本命となるのが中国株だ。経済全体の成長期待も高く、日本の証券口座から手軽に個別株投資が可能なため、海外投資の中でも人気は圧倒的だ。とはいえ、これからも中国株は上がり続けるのか? TS・チャイナ・リサーチ代表の田代尚機氏が解説する。
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世界金融危機以降、米国一極集中の経済構造が崩れ、多極化が進むなか、いまや世界第2位の経済大国となった中国の存在感は高まっている。人民元も国際化に伴って、緩やかではあるが、その価値を切り上げつつある。すでに今後の通貨高を見越して、香港ではここ数か月、人民元預金が急増しているという。
いうまでもなく、世界中の視線が中国に注がれるのは、その経済成長の高さにある。IMF(国際通貨基金)の世界経済見通しでは、中国のGDP(国内総生産)成長率は2011年が9.6%、2012年も9.5%と世界をリードする。依然として世界で最も魅力的な投資先であることは疑いようがないだろう。
実際、個別銘柄の株価推移を見ていくと、過去10年で株価が数十倍になった「大化け株」がゴロゴロしている。たとえば約66倍にまで膨らんだセメント最大手の安徽海螺(コンクセメント)を筆頭に、医療用品最大手の山東威高(ウェイガオグループ)は約64倍、中国最大級のIT企業・騰訊控股(テンセント)も50倍以上などとなっている。
しかも、それは過去の話にとどまらない。世界第2位のGDP規模を誇るとはいえ、中国の1人当たりGDPは依然3000ドルを超えた程度に過ぎない。ここから1万ドルまで急加速する過程で株価がさらなる上昇を見せることは多くの先進国が辿った歴史が証明している。「中国の1人当たりGDPは2020年に1万4000ドルに達する」とゴールドマン・サックスが予測するように、まさにこれから「黄金の10年」が訪れようとしているのである。
何より中国株には「わかりやすい」という最大の魅力がある。市場開放が進んだとはいえ、中国共産党の政策によって大きく動く計画経済であることに変わりはない。今後、政府が重点的に進める政策を見定め、そのグランドデザインに沿った銘柄に投資できれば、より確実な上昇が見込めるのだ。
もちろん、その動きは速く、先んじて動く必要はあるが、そのような銘柄を探し出すことができれば、中国株で資産1億円を築くことは大いに現実性のあることなのだ。
※マネーポスト2011年9月号