「きんは、100シャア!」「ぎんも、100シャア!」
到来しつつあった高齢化社会の象徴として、双子姉妹の成田きんさん(享年107)と、蟹江ぎんさん(享年108)が、日本中のアイドルになったのは、いまから20年前の1991年(平成3年)、暮れのことだった。
いつまでもボケず、自分で自分のことがやれ、大病もせずに長生きできるとしたら…。そんな人々の願望を、より身近に具現した“きんさん・ぎんさん”の登場は、全国の人々におおいなる希望を与えた。
ふたりは100才にして、その才能と元気パワーを花開かせ、テレビに出れば、並のタレントも顔負けの活躍ぶりを見せた。その魅力をひと言でいうなら、人間として持ち合わせた愛嬌、そして類い希なるユーモアセンスだったであろう。
この双子姉妹の妹、蟹江ぎんさんは、夫・園次郎さん(1968年死去、享年81)とのあいだに、5人の娘をもうけた。次女・栄さんは3才で病死したが、あとの4人姉妹は、元気旺盛で日々を謳歌している。
長女・年子さん(98)、三女・千多代さん(93)、四女・百合子さん(91)、五女・美根代さん(89)。4人の年齢を合算すると、371才で、平均年齢は93才に限りなく近い。“きんさん・ぎんさんブーム”から20年の歳月を経て、4姉妹は長寿に恵まれ、揃って腰も曲がらず、総じていうなら“チャーミングなおばあちゃん”になっている。健康そのもので、とにかく仲がいい。
年子さん:「病気したことって、なんもありゃせんな」
百合子さん:「ありゃせん、入院なんてしたことないよ」
美根代さん:「なんで入院せにゃならんの。ああ、こないだ買い物行くとき自転車こいどったら、転んだことがあったわな。まだ、腰が痛い」
千多代さん:「そりゃあ、風邪はな、人並みにひくよ。うーん、最近はな、ちょっと物忘れがひどうなった」
百合子さん:「こないだ、お医者さんに聞いたら、年とるとな、脳みそがちいさぁなるんやって。そいだから先生が“本を読みなさい、新聞読みなさい”いうから、毎朝な、新聞をスミからスミまで読むようにしとる」
普通なら、90才を超えた姉妹であれば、車いすのお世話になる人がいても不思議ではないのだが…。
年子さん:「そりゃあ、表を歩くときは、たまには手押し車を使うけどにゃあ、杖は使わんな」
美根代さん:「杖なんか、持っとりゃあせん。あんなのついたら、みっともないがね。それちゅうのも、母の口癖がね、“人間はな、足から死んでいく。そいだから足をつこうて、足を大事にしろ”って、そりゃあしつこいくらいいわれたがね。その母の教えを守ったから、4人とも、この年でもシャンシャン歩ける。やっぱり、母の教えは絶大ですよ」
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号