市域の4分の3が液状化した千葉県浦安市。東日本大震災から半年が経っても、いまだ復興への道のりは遠い。こうした浦安の液状化は報道ですっかり有名になったが、報じられていない液状化被害地域は全国に多数あるという。
40年以上前から液状化の研究をしている関東学院大学工学部教授の若松加寿江さんが説明する。
「そもそも液状化というのは、地下水位が浅く、砂質の地盤で起こる現象。そのような地盤は浦安だけでなく、全国に多数あります。東日本大震災で液状化が確認された市区町村数は144に及び、岩手から神奈川まで南北500kmにわたります」
千葉県匝瑳市吉崎浜にある野外活動施設の敷地内も、東日本大震災で液状化が発生した場所のひとつだ。
「実は、この場所では24年前の千葉県東方沖地震でも液状化が発生しているんです。液状化の範囲から地盤がすべる方向まで驚くほど似ています」(若松さん)
若松さんは過去1600年間に起きた1000の地震の液状化状況について研究しており、「液状化は同じ場所で繰り返し発生する傾向がある」と指摘する。
「これまでは、一度液状化したところは地盤から水が抜け出て締め固まるため、その後は液状化しにくくなると多くの人が考えていました。しかし実際に地盤を調べてみると、必ずしも地盤は固まっておらず、逆に緩んでいるところも多くあります」(若松さん)
若松さんの研究によると、2008年までの地震で複数回液状化している地点は全国に150か所ある。つまりこれらは日本で最も液状化しやすい土地だと考えられる。
「北海道の41か所をはじめ東日本に集中しています。ただし、他の地区が安全というわけではありません。西日本では、1995年の阪神・淡路大震災で広範囲に液状化が発生しました。これ以外の地域でも、大地震が起これば、戦後の埋立地を中心に液状化被害が起きると予想されます」(若松さん)
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号