地デジ化以降、NHKの解約者が9万人出たというニュースが報じられたが、実際の“卒業生”は9万人どころではない。
「地デジ移行日を過ぎても対応していない『難民』があまりにも多いので、実はチューナーを無料貸し出ししている状態。それでも10人に1人くらいは無料チューナーさえ要らないという」(地デジ化を推進するデジサポ関係者)
本誌推計では、7月の地デジ化時点で難民はゆうに100万世帯を超えていた。その1割が「卒業」したなら、それだけで10万世帯。また、アンテナ設置業者に取材すると、移行日以降、工事のキャンセル率は2割にものぼるという。工事が間に合わなかった世帯は約20万と見られるので、ここでも数万世帯が卒業している。NHKの「解約者9万人」も、もともと受信料未納が約半分なのだから、この倍は卒業しているだろう。
「隠れた卒業の例ですが、地デジ化に対応するためにケーブルに加入した人で、これまで見られなかった海外のニュースチャンネルやドキュメンタリー、ドラマなどが国内の地上波より面白いと気付き、そちらばかり見るようになった人も多い」(ケーブルテレビ会社)
おかげで有料放送はどこも好景気に沸いている。ウソ臭い「視聴率」で広告料をがっぽり稼いできたテレビ局が青ざめ、国民がくだらない番組を見る無駄な時間を捨てたなら、いずれにしても朗報である。
※週刊ポスト2011年9月30日号