”家族の絆”がテーマの人気番組NHK『鶴瓶の家族に乾杯』(毎週月曜午後8時~)。行く先々で出会った人たちとの温かい交流が見どころだが、それも旅人として出演している笑福亭鶴瓶(59)の“人たらし力”があってこそといえる。
鶴瓶がゲストとともに旅に出かけ、地域の人たちと交流する。すべてぶっつけ本番の旅のため、地域の人たちは鶴瓶らが来ることを事前に知らない。戸惑う人も多いが、鶴瓶が一瞬のうちに相手の懐に飛び込んでいく。だから、出会った人もついつい本音を漏らしてしまい、自然な笑いや感動につながっていくのだ。
番組チーフ・プロデューサーの佐橋陽一さんも、鶴瓶と初めて出会ったときに驚いたひとりだ。
「会ってすぐに、ずっと前から知り合いだったかのような感覚にこちらがなっちゃうんですよね。(番組司会の)小野文恵アナウンサーもいっていましたが、鶴瓶さんは30年来の知り合いではないかと相手に思わせる技を持ってらっしゃる。昔からそういうかただったらしくて、小学生のころから近所のおばちゃんたちと井戸端会議をやっていたそうで、“それをいまもやっているだけなんや”とおっしゃってました。番組で海外ロケを行うこともありますが、鶴瓶さんは言葉の壁は軽く超えますね」
鶴瓶がこの番組の旅で出会った人たちとの交流は、その場限りでは終わらない。ロケ後も連絡を取り合っている人がたくさんいるという。
「鶴瓶さんは友人と付き合うのと同じように、この番組で出会った家族のかたたちといまもつながっています。お中元がきたり、お中元を送り返したり。お祝いでお花を出したり、お電話をしたり、普段からしているんです。鶴瓶さんは“増えるばっかりや”っていってました。連絡先も交換しているようで、たぶん携帯のメモリーは完全にパンクしているんじゃないですか。そのぐらい人とつながっているかたなんです」(前出・佐橋さん)
今年5月には、震災で被災した宮城県石巻市を「再会編」で訪問。8月には、宮城県塩釜市を訪れ(9月26日、10月3日放送予定「再会編」)、再会した人ら被災者を励ました(写真参照)。
「鶴瓶さんが“親戚のおじちゃん”のような感じなんですよね。震災でご心労もあって、過酷な経験もされたかたもいたと思いますが、“親戚のおじちゃん”が会いにきてくれたから話したいというごく自然なやりとりが生まれるんでしょう。被災地では、皆さんのほうから鶴瓶さんに話しかけられていた、という印象です」(前出・佐橋さん)
番組がスタートして今年で16年目。現在、106の国と地域で放送されている。鶴瓶の人懐っこい笑顔は、いまでは世界中の人たちに親しまれている。