知名度のないタレントがアルバイトで生活費を稼ぐケースは珍しくない。無名のアイドルだと、時間の融通がきく飲食店でのバイトが“定番”ともいえる。しかし、最近、こんなケースを記者は経験した。
新人グラビアアイドル数人に取材をする企画があり、その内のひとりを取材するため、バイトが終わる時間を見計らって、バイト先である大手ドラッグストア近くのファミレスで待機していた。そして、待ち合わせ時間の数分前、事務所のマネージャーから、「すいません、残業になったみたいで遅れます」との連絡が入り、そのまま1時間ほど待つことになった。
終電も近づく頃、ようやくそのアイドルが到着。事務所のホームページで見るよりも、やや大人びた顔立ちだ。早速話を聞くと、実はアルバイトではなく、大手化粧品メーカーの美容部員というれっきとした社員だったのである。そのため、残業となれば簡単に帰ることはできないのだった。
つまり、「アイドルがバイトをしている」のではなく、「OLがアルバイトでアイドルをしていた」わけである。
この話を、他のタレント事務所の関係者に話すと、意外な答えが返ってきた。
「そういう話は、最近、結構聞きますね。アイドルがバイトでできるようになったということですよ。特にグラビア系のアイドルは、写真集やDVDが売れなくなり、雑誌に登場することもめっきり少なくなってしまった。そういった撮影は半年に1回くらいのものでしょう。そこで、唯一の稼ぐ手段が、ファンを対象とした撮影会なんです」
この撮影会とは、ファンが参加料を払って、スタジオや公園で実際のアイドルを自分で撮影することができる仕組み。参加料は、時間やアイドルの知名度によって、3000円あたりから。中には1万円以上かかるものまでと幅広い。たいてい週末の土日に開かれるので、本業があっても、支障なく、アイドルとして参加できるというわけだ。
「テレビに一度でも出た経験があり、スタジオでの水着の撮影となれば、高い参加料を取れる。10人集まれば、かなり効率のよいバイトとなります。ただし、最近は飽和状態になりつつあり、参加料の値下げが目立っています」(前出の事務所関係者)