手軽に海外に投資できるツールとして人気の投資信託(ファンド)。特に新興国に投資するファンドの人気は高まる一方だ。リッパー・ジャパンのファンドアナリスト・篠田尚子氏が、新興国ファンドに投資する際の注意点を解説する。
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ひとくちに新興国ファンドといっても、投資対象は非常に幅広い。国別で見ても、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に続いて、「VISTA」と呼ばれるベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン、「NEXT11」のバングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナムなど、中東やアフリカまで広がっている。特に、最近国内では、インドネシアなどのASEAN各国の人気が高い。
こうした国々の株式に加え、債券に投資をするファンドも増えてきている。また、1つの国に投資するもののほかに、分散投資の効果を期待して複数の国に投資するものがあり、両者それぞれに、株式と債券をミックスしたファンドも存在している。
こうした新興国ファンドを選ぶポイントは、まず需給である。たとえばここ1年間のロシア株式ファンドは、非常に高い運用成績を残したが、資金の流出が続き、残高が減少傾向となっている。たとえ運用成績がよくとも、残高が減り、安定的な運用ができなくなると、繰り上げ償還(ファンドの清算)されることがある。特に、株式型にはその懸念が強い。
残高の目安として10億円がボーダーラインといえようか。ただし、販売会社が多い場合は、運用会社も簡単に繰り上げ償還はしにくいので、販売会社が多いファンドを選ぶのも手だ。10社以上あれば、多少残高が減っても運用が継続される可能性は高いだろう。
次はコスト。新しく設定されたファンドの方が、販売手数料や信託報酬などのコストが安いケースがある。中国株ファンドなどは、10年近く前に設定されたものと最近のものでは、格段に差がある。新しいファンドは、運用成績などのデータが少ないため、敬遠されることもあるが、投資内容が似たファンドがあれば類推は可能。運用成績やコストを比較することが大事だ。マザーファンド方式のものなら、マザーファンドを見れば過去の運用成績がわかる。
※マネーポスト2011年9月号