車中からプラカードを掲げるのは、ノーベル文学賞受賞作家の大江健三郎氏(76)。
9月19日、東京・新宿区内の明治公園は、敷地内に収まりきらないほどの人で溢れていた。その数、なんと6万人。国内すべての原発の廃炉を訴える『さようなら原発5万人集会』の参加者で、集会後はデモ行進も行なっている。
“異変”が起きたのは、夕方過ぎ。ゴール地点になっている代々木公園にほど近い路上に突然、嬌声がわき起こった。
「キャーッて、韓流スターを出迎えるような声が聞こえてきて。よく見るとプラカードを持った大江さんがタクシーの中から身を乗り出して、デモの参加者に手を振っていましたよ」(目撃した女性)
大江氏はこの集会の呼びかけ人の一人で、タクシーからの“サプライズ登場”は彼流の計らいだったのだろう。6万人のデモ隊の列は日が暮れてもなかなか途絶えることはなかった。
撮影■KOTARO MANABE
※週刊ポスト2011年10月7日号