かつて「きんは100才、ぎんも100才」のフレーズで大人気だった双子姉妹の成田きんさん(享年107)と蟹江ぎんさん(享年108)。実はぎんさんには5人の娘がいて、早くに亡くなった次女を除くと、98才の長女から89才の五女まで4人揃って元気に暮らしている。
平均年齢にして93才の4姉妹が育った蟹江家には、大黒柱だったぎんさんが遺した「金言」ともいうべき教えが受け継がれている。
<どんなに辛くても、お天道様は、明日になれば、また出てござる>
五女の美根代さん(89)が52才のとき、娘婿だった夫が急性心不全で突然、亡くなった(享年53)。うちひしがれている美根代さんと孫の好直さんに、ぎんさんは、
「いつまで泣いとるきゃあ。いまはつらかろうが、力が出なかろうが、お天道様はまた出てござる。こらっ、しっかりしぇんかぁ」
そういって励ました。
<人間、大事なのは気力だがね。自分から何かをする意欲を持つことだがにゃあ>
105才まで、ぎんさんには自分の歯が5本も残っていた。「気力でなあ、この前歯の5本だけは、何としても残さんといかん」、そういって残った宝物のような歯を毎朝、粗塩で磨き、柔らかいタオルで1本1本を丁寧に拭いて総仕上げをした。
四女の百合子さん(91)は、「それからさすがに1本はなくなったけど、大往生するまで4本の歯を持ちこたえさせた。あの気力はなあ、やっぱし、学ばんといかん」と話している。
<顔のシワは増えても、心にシワを生やしちゃ、世の中が面白のうなるだよ>
4姉妹は、そんなぎんさんの教えを、生きるうえの糧として生きてきた。
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号