2009年の登場以来、その利回りの高さから大人気となっているのが「通貨選択型ファンド」。はたしてその中身はどんなものなのか? リッパー・ジャパンのファンドアナリスト・篠田尚子氏が、通貨選択型ファンド投資のポイントを解説する。
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通貨選択型ファンドは、表面利回りの高い外国債券(ハイイールド債)に投資するタイプが多く、「グローバル・ソブリン・オープン」のような外債ファンドと似ているが、通貨の金利差も得られる点が大きく違う。
例えば、米国の社債に投資する外債ファンドは、通常は米ドル建てで運用し、インカムゲイン(金利収入)は債券の利回り分のみ。だが、ブラジルレアルでヘッジすれば、米債に投資していても、レアルの高金利を上乗せできる。したがって、選択される通貨もブラジルレアル、豪ドルといった高金利通貨の人気が高く、特にブラジルレアルは通貨選択型の7割以上を占める。
通貨選択型には必ず為替変動リスクが存在し、高金利通貨の場合は、変動幅がより大きくなる傾向が強いため、ハイリスク・ハイリターンであることを忘れてはならない。投資対象も債券だけでなく、株式、金や原油先物、リート(不動産投資信託)など多種多様になっており、騰落率も大きく変動する。したがって、購入の際は、トータルのリスクを把握しておくべきだろう。為替相場の動向に応じて、通貨をスイッチングするなどのメンテナンスも必要となってくる。
※マネーポスト2011年9月号