権威ある肩書きを持ち、いかにも頭の良さそうな人たちが、連日メディアで「増税は必要だ」と唱えている。「将来世代に負担を残すな」などといわれると、「そうだな、仕方ないか」なんて思ってしまうが、ちょっと待ってほしい。その“有識者”がどんなバックグラウンドを持つか、あなたは知っていますか?
日本テレビ『NEWS ZERO』のメーンキャスターを務める村尾信尚氏。爽やかなイメージと「納税者目線の行財政改革論」がウリだが、実はかねてから、講演では「消費税は上げるべき」と唱えるバリバリの増税論者である。
番組HPの今年6月20日付のコラムでもこう述べる。
〈日本の財政は今や破綻寸前。主要先進国の中で最悪の水準です。公共サービスの大幅カットや増税は避けられない状況です。さらに、東日本大震災の復興にかかる費用を負担していくことが必要になります〉
独特の納税者目線をお持ちのようだ。
理由は、村尾氏の出自を見れば明らかだ。単に元財務官僚ということだけではなく、財務省の“本流中の本流”、予算編成に大きな権限を持つ主計局主計官を務めたエリート。「納税者目線」といいながら、いっていることは結局「財政再建=増税」という、財務省の省是そのまま。三つ子の魂百までとはこのことか。
同コラムではわざわざ増税反対論者の「増税では景気が落ち込み財政赤字が拡大する」という主張に反論している。2009年5月11日付で、「老後や病気の心配がなければカネは貯金ではなく消費に回す」という声があるとして、次の一言。
〈社会保障制度が充実すれば、たぶん消費は増加するでしょう〉
根拠が「たぶん」では説得力は“ZERO”。隣に座る櫻井翔クンも頷けない。
※週刊ポスト2011年10月7日号