10月1日の暴力団排除条例の施行を見据えて、警察当局はテレビ局にも自浄を求めている。実は、この問題で最も早く対策を講じ始めたのが、「紅白歌合戦」を抱えるNHKだ。NHKにも9 月に入ってから警視庁の組対3課の課長らが訪れたというが、NHKはいち早く、今年4月から出演者との契約書に「暴力団排除条項」を盛り込んでいた。このあたりはさすが民放と違って情報が早い。
以降、NHKは独自の情報収集を進めた。ネットワークで全国に散らばっている報道担当の社会部記者をフル動員し、「歌手やタレントの身体検査」を行なってきたという。その前線部隊に加わる記者の1人が明かす。
「過去に、暴力団との交際が発覚して紅白を辞退した大物演歌歌手などは要注意人物として調査対象になっています。今も暴力団関係者と繋がりがあるのか見極めるのは難しいですが、警察の捜査の動きなどから情報を集めている。事前に把握できれば、紅白の人選で“不適格者”を選ぶこともない。何としても紅白は開催したいとの局の意向によるものです」
別の視点から芸能人を洗っているケースもある。不動産や飲食店経営など「副業」を持っているタレントに注意を払っているという。関西の準キー局の幹部が明かす。
「紳助騒動でも疑惑視されましたが、飲食店経営などのサイドビジネスでは、物件の取得から開店、経営に至るまで、何かと暴力団関係者と接触する機会は避けられないと考えているためです」
各局がしのぎを削って繰り広げる、魔女狩りならぬ「ブラック芸能人」狩り。突然、テレビ画面から“排除”される芸能人が続出しそうである――。
※週刊ポスト2011年10月7日号