不妊の原因は男女ほぼ半々といわれている。通常、健康な男性の精液量は2cc以上で、1ccの精液中に2000万個以上の精子が存在し、50%以上が元気に動いていれば自然妊娠が可能だ。
しかし、精子数が少なかったり、運動率が低いと自然妊娠しにくい。さらに2回の精液検査で精子が発見されないと無精子症と診断される。無精子症の原因は、精子は正常に作られているが通り路に問題があって精子が外に出られない閉塞性無精子症と、精巣の精子を作る働き自体が低下している非閉塞性無精子症の2つに分けられる。男性不妊治療専門の恵比寿つじクリニック(東京都渋谷区)の辻祐治院長に聞いた。
「無精子症が閉塞性か、非閉塞性かを判断することは難しいのですが、基本的には血液中のFSHというホルモン値を測って判断します」
FSHは下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞から分泌されるホルモンで、精巣での精子製造をコントロールしている。脳のセンサーが、精子が作られていないことを感知するとFSHを大量に分泌して精子の製造を促すと考えられており、数値が高ければ非閉塞性であると思われる。
しかし、脳は精子を作っているかどうかのおおよその感知はできるが、体外に出ているかを判断することはできないため、FSH値が上昇していない場合は閉塞性の可能性が高い。しかし、非閉塞性でも数値が高くない人もいるため、精巣の大きさや精子の通り路を超音波検査で調べることで総合的に判断する。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年10月7日号