「知らずに暴力団の予約を受けてしまったらどうしたらいいのか」「取引先が暴力団関係者かどうか調べる手段がない」――東京都暴力団排除条例の施行が10月に迫り、企業の担当者はパニックに陥っている。今後は、暴力団との商行為も厳しい取り締まり対象となり、悪質な場合は企業名を公表される恐れもあるからだ。ここでは3つの企業の取り組みを紹介しよう。
●プリンスホテルの取り組み
「今回の暴排条例の内容は、暴対法の反社会的勢力排除条項に基づいて、数年前からほぼ100%実施してきたもの。宿泊のお客さまでも、暴力団の方とわかった段階で出ていってもらいますし、宴会であれば途中であろうが、中止してもらう。宿泊、レストラン、宴会や婚礼の申込書、スキー場やゴルフ場の利用約款など、あらゆる約款にこうした反社会的勢力排除の文言を入れています」(管理部)
●ローソン・グループの取り組み
大勢社員がいれば、なかには暴力団関係者と関わりをもってしまう社員が出てくる可能性もある。そのリスク管理にも、企業は心を砕かなければならない。
ローソン・グループでは、通称「C&R」と呼ばれるコンプライアンスとリスク管理に関するハンドブックを全社員に配布している。
「暴力団とは一切関係をもたず、健全な企業風土を保つといった企業理念や行動指針が書かれている。また、社内のほか、社外の弁護士に相談できる窓口もあり、匿名での相談も可能。専門家の助言を受けながら、社員みんなで暴力団との関係を排除していく仕組みをつくっている」(広報部)
●ソフトバンクモバイルの取り組み
「電気通信事業法には『電気通信サービスの提供義務』が規定されていますが、一方で暴排条例には暴力団の排除が求められています。当社として、どのような対応を取るのが適切なのか、総務省や警察庁などに相談して検討しているところです。お客様に来店して頂いた時の対応についても、まだ検討段階です」(広報部)
※週刊ポスト2011年10月7日号