かつて日本人野球選手が大量に海を渡り、メジャーの世界へ足を踏み入れたが、今オフは球団との契約満了に伴い、多くの日本人メジャーリーガーが帰国すると見られている。
最大の注目株は、米メディアに「最悪の買い物」という称号をもらった井川慶(ヤンキース傘下の2Aトレントン)だ。
2006年末にポスティング移籍した井川だが、2年目からはほとんどマイナー暮らしで、片道2時間以上かけて球場に通う毎日。しかし肩を酷使していないのが幸いしてか、「故障もなく、体力的にもメジャー移籍時と変わらない。まだ日本では十分に活躍できる」(在阪球団編成担当)となぜか評価が高い。
井川獲得に動いているのは阪神だ。井川に加え、川上憲伸(ブレーブス傘下の2Aミシシッピ)と、金本の穴を埋める福留孝介(インディアンス)を狙う。
左の中継ぎ候補として楽天、西武などが目をつけているのが、岡島秀樹(レッドソックス傘下の3Aポータケット)だ。マイナーでは8勝1敗と好成績だが、メジャーから声はかからなかった。
「本人は泣きそうな勢いで“来季もマイナー契約なら日本に帰る。12球団どこでも行く”と漏らしている」(岡島に近い関係者)
他に日本復帰が濃厚なのは五十嵐亮太(メッツ)、斎藤隆(ブルワーズ)、建山義紀(レンジャーズ)、黒田博樹(ドジャース)。
「黒田は能力的には十分米国でやれるが、1200万ドルという年俸がネック。財政破綻したドジャースにとっては費用対効果が悪く、放出される可能性が高い」(在米スポーツジャーナリスト)
ちなみにもう一人、超大物がいる。アスレチックスの松井秀喜だ。こちらも契約は今年までだが、「松井を買っているメルビン監督代行が来季から監督に昇格することが決まったので、年俸減を受け入れて残留が濃厚」(同前)とされ、日本復帰はなさそうだ。
日本勢がMLBを席巻したのも今や昔か。
※週刊ポスト2011年10月7日号