家庭に届いた9月の電気代の請求書を見て、「あれ、こんなに高かったっけ!?」とイヤ~な感じを覚えている主婦も多いはず。そう、原発事故や節電、電力不足のニュースに隠れてあまり報じられていないが、実は電気代がジワジワと値上げされているのだ。
例えば、東京電力管内では、標準家庭で3月に6251円だった電気代が毎月80~90円ペースでアップ。9月には6776円となり、値上げ額は半年でなんと525円に達した。10月も78円アップが決定しており、3月に比べると、実に600円以上も上昇していることになる。
東電広報部によると、値上げの原因は「LNG(液化天然ガス)の仕入れ価格の高騰」だという。
「火力発電所で主に使っているLNGという燃料の仕入れ価格が、世界的な資源高の影響で昨年12月から9か月連続で上昇しています。燃料の調達にかかる費用が高くなったぶん、電気代に反映せざるを得ないのです」(東電広報)
公共料金である電気代は、本来、価格を見直すのに経済産業相の承認が必要となる。しかし、燃料の仕入れ値が上昇したり下落したりした場合には、その分を電力各社が「燃料調整費」として、毎月の価格に反映することができるのだ。値上げ幅は電力会社によって異なるが、3月以降、中部電力で500円程度、関西電力で300円程度と、東電以外の電力会社でも大幅に上昇している。
また、見逃せないのは、今後、原発事故の影響で、電気代がさらに値上げされる可能性が高いということだ。現在、日本では全国で原子力発電から火力発電へのシフトが進んでいる。発電コストは、原子力よりも火力のほうが高いが、その分の価格転嫁はまだ行われていない。
この分の値上げを巡っては、一部報道で、東電管内で2012年春から3年間、電気代が15%(標準家庭で1000円程度)アップするともいわれている。東電は10月中にも、値上げの必要性を明記した「特別事業計画」を経産省に提出する見込み。しかし世論の反発も大きく、先行きは不透明だ。
※女性セブン2011年10月13日号