終戦直後、世界に先駆けて胃カメラを作り上げた日本人研究者の苦難と情熱の日々を描くドラマスペシャル『光る壁画』が10月1日、テレビ朝日系列局にて放送される。いまや世界中で病気の早期診断、治療に貢献し、人々の命を救っている“内視鏡”だが、その普及のきっかけとなった“胃カメラ”を世界で初めて開発したのは、終戦直後の日本人だった――。
『光る壁画』は、吉村昭氏の同名小説を原作にドラマ化。「“胃の内壁を写すカメラ”によって、多くの人々の命を救いたい」と、困難に襲われてもあきらめず、折れない心で世界初の偉業を成し遂げた彼らの姿を通して描くのは、戦後の廃墟から奇跡的ともいうべき復興を成し遂げた、日本人のひたむきさ、たくましさだ。
主人公・曾根菊男を演じているのは、佐藤隆太(31)。戦争による心の傷を引きずりながらも命を守る研究=胃カメラ開発に没頭する一途な研究者だ。佐藤は「世界で誰も挑戦したことのない“胃内カメラ”をゼロから開発し成功させたのが日本人だと知り、同じ日本人として勇気づけられました」と話す。
そして、菊男を見守る妻・京子を加藤あい(28)、胃カメラの発案者である東大医師を中村俊介(36)、菊男の先輩で共に開発に打ち込む松浦を萩原聖人(40)が演じ、胃カメラ開発チームがひとつの目標に向かって進んでいく。
加藤あいは、大きな愛で夫を包む役どころに「口数も少なくて特別なことをするわけでもなく、ただひたすら“いってらっしゃい、頑張ってね”と笑顔で言い続けるだけですが、夫のすべてを理解して、そっと包んで送り出す…。その姿はとても強く美しいなと思いました」と語る。中村俊介は「何もないところからスタートして、胃カメラを開発していく過程は、まるで熱い冒険物語のようだなと思いました。熱い男たちのドラマに仕上がっています」と撮影を振り返った。
そして、開発チームの中心的存在・松浦辰男を演じた萩原聖人は「こんな時代にこんな作品にかかわれた」ことに感謝し、「当時は、本当に“胃カメラなんて無理だろう”と考えられていたと思うんですよね。でも無理だ、無理だと言っていたら、誰も救うことができない。それぞれが勇気を持ち、さまざまな犠牲を伴って前に進んだ結果が、現在の内視鏡に繋がっているのだと思います」と、“ポジティブに皆で頑張る”ことの大切さを説く。
若き技術者、医師たちの熱意と友情、そして彼らを支え続けた女性たちを壮大なスケールで描く同作品には、佐藤隆太、加藤あい、中村俊介、萩原聖人らのほか、大杉漣、市川亀治郎、寺島進、星野真里らが脇を固めている。