野田内閣は「消費税を引き上げる時には国民に信を問う」(藤村修・官房長官)と、消費税増税法案を成立させた後に選挙に打って出る方針を固めており、さらに藤井裕久・民主党税制調査会長は増税について「与党として結論を出すことは当然の責任だ」と演説をした。だが、若手代議士は党のこの方針に悲鳴を上げる。
「いまは世論調査で『復興のための増税は仕方がない』との意見が多いが、いざ増税が実施されると、国民の批判が強まるのは確実。新聞やテレビも『負担がこれだけ増えた』と言い出します。その批判を一手に受けたら選挙にならない。消費税引き上げも借金返済のための増税では有権者の理解を得られない」(大西健介・代議士)
ある中堅議員は悲壮な覚悟を口にした。
「藤井さんは次の選挙に出るつもりがないから好き勝手いうが、消費税増税を公約に掲げて選挙を戦うのは自殺行為だ。野田さんを批判してでも、“私は増税に反対する”“09年のマニフェストを守る”と訴える」
では、このまま野田政権が増税路線をひた走り、消費税増税を掲げて総選挙を戦った場合はどうなるのか。本誌は全国の選挙区事情に詳しい政治ジャーナリスト・野上忠興氏とともに議席予測シミュレーションを行なった。
結果は、民主党が現有を半減させる151議席の大惨敗。逆に自民党は234議席と倍増させ、単独過半数(241議席)に迫る。ちなみに本誌3月11日号で行なった「菅首相のブチ切れ解散」予測では、「民主195・自民198」。民主党にとってそれよりはるかに厳しい結果となり、政権が自民党の手に戻るのは確実な情勢だ。
「現時点で野田内閣の支持率は50~60%台だが、これは“菅政権から解放された”という国民の安堵に過ぎない。菅内閣が発足時に高支持率を得ながら、わずか数か月で急落したことを見ても、この支持率が維持されることはあり得ません。
2009年マニフェストで掲げた4K(「子ども手当」「高速道路無料化」「高校授業料無償化」「農業者戸別所得補償制度」)を撤回した野田政権が連続増税を実施すれば国民の怒りは頂点に達する。昨年の参院選からさらに20~30%の票を失い、景気低迷が顕著な地方では民主の空白県が生まれると予想されます」(野上氏)
※週刊ポスト2011年10月14日号