イチローの連続200本安打記録がついに途切れた。これについて、「年齢的な筋力の低下が原因ではないか」と語るのは、現役時代に中日のアベレージヒッターとして活躍し、現在は東京大学硬式野球部の臨時コーチを務める野球評論家の谷沢健一氏(2062安打、生涯打率.302。39歳で引退)である。
「特に下半身を中心とした衰えでしょう。今年のイチローを見る限り、特にレフト方向への打球が弱く、手打ちになっている。私にも経験があるが、年齢を重ねてくると下半身のキレがなくなることで、打球の強さがなくなり、フェンスを越えたと思った球も平凡な外野フライになる」
こうした谷沢氏の指摘を裏付けるように、イチローの長打力は著しく低下している。ある打者の長打力を考える時、これまでは「長打率」(塁打÷打率)が用いられてきたが、これでは内野安打によっても数値が上がる。
そこで最近では純粋な長打力を示すIsoP(Isolated Power=長打率-打率)という指標を用いることが多い。これを見ると、イチローのIsoPは、2009年の「0.113」→2010年「0.79」→2011年「0.64」になった。イチローの長打力は既に昨年から低下傾向にあったことがわかる。
※週刊ポスト2011年10月14日号