野田政権になって初めての論戦の場となった衆議院予算委員会でも、新首相は既定方針である“安全運転”に徹して怠りがない。その一端が垣間見えるのが、自民党・河井克行議員の質問の際に、しっかり手にしていたカンペ。
思い起こせば2月、菅前首相も自民党の谷垣総裁との初めての党首討論にカンペを持参(関連記事参照)。「国民に見せたいイメージ」と題して〈大局を見つめる菅〉〈国を考えてる民主〉などと書かれたセコい“菅ペ”の存在を本誌はキャッチした。
一方、野田首相のカンペには多くの【注】が付されており、〈「すれ違い」とならないように、一つ一つの質問にしっかりと答え〉〈簡潔かつ前向きに答える〉〈役人用語を使わずに、国民に分かりやすい平易な言葉を使用する〉と。まァ、良くいえば真面目、悪くいうならつまらない内容。
それより目を引くのが、政治資金疑惑についての「想定質問」。〈資金管理団体「未来クラブ」が平成10年~15年に、民団関係者ら在日韓国人2人から計31万8千円の政治献金を受けていたが、長い付き合いでもあり、いずれかの時点で相手が外国人であったと知っていたのではないか〉。〈菅前総理の資金管理団体から「市民の会」と称する政治団体への6250万円もの「渡しきり献金」について、なぜ一政治団体に巨額の資金が流れ、またその資金がどのように使われたのか……〉。
さすが、自分の疑惑と政治責任の焦点は自分が一番よくわかっていらっしゃる。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2011年10月14日号