「尖閣諸島問題に対する日本側の関心の低さが、中国に付け入る隙を与えている」――1年前、中国漁船衝突事件の映像を「sengoku38」というハンドルネームでYouTubeにアップした一色正春氏はそう嘆く。職を賭した氏の決意にもかかわらず、攻勢を強める中国に対して我が国は有効な対応ができていない。しかし一色氏は、元海上保安官の立場から、「領土を守る手立てはある」と指摘する。
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私があえて提案したいのは、あくまでも島の領有権は日本にあることを前提として、台湾と漁業協定を結び、ある程度の漁業権を認めるということだ。台湾は、かつて日本として実際に尖閣諸島周辺の海で漁を行なっていた歴史がある。
漁ができる範囲を限定したり、利用料を定めたりするなどの調整は必要だが、そうやって台湾を味方にすることにより、中国側を牽制できる。
最近、台湾で尖閣の領有権を強く主張してきた「台湾保釣協会」のホームページで、「尖閣は日本の領土だった」と認めたと思える記述がアップされているが、こうした議論が広がれば台湾と協調することの追い風になろう。
※SAPIO2011年10月5日号