鉢呂吉雄・前経産相の「死の町」発言を一斉攻撃した新聞・テレビは、その実態を何も知らないし報じない。立ち入り禁止となっている原発から20キロ圏の警戒区域内で、住民にも知らされることなく原発の産廃が不法投棄されている重大疑惑が浮上した。
鉢呂氏は、福島第一原発の周辺を「死の町」と呼び、辞任に追い込まれた。「放射能つける」発言とともにこれを批判した新聞・テレビは、そのくせに自分たちは決して原発周辺には近づこうとせず、その動向も報じない。
マスコミにはほとんど報じられないが、原発には最近、変化が起きていた。東京電力の協力企業関係者が語る。
「事故当初から働いていた熟練の作業員たちは、被曝線量が協力企業の定めた上限に近づいて現場を離れていった。新しく入ってくる作業員には急募で集められた素人が多く、汚染水処理などで不注意から小さな事故が相次いでいます」
深刻な状況が続いているが、原発対応拠点であるJヴィレッジには明るい変化もあった。
「女性が増えたんですよ。受付やパソコンに向かう事務作業なんかは女性が多くて、華やかになりましたね」(同前)
原発内の顔ぶれが変わる一方、周辺地域は依然として手つかずのまま。Jヴィレッジには「車と牛の衝突事故が増えている」との張り紙があるとおり、20キロ圏の警戒区域内では牛や犬、猫など動物たちが“野良化”している。また、犯罪が急増し、9月までに約600件もの窃盗が確認されるなど、無法地帯と化している。
※週刊ポスト2011年10月14日号