島田紳助の芸能界引退騒動は、単に紳助と山口組系極心連合会・橋本弘文会長との交際だけでなく、付随した問題を数多く浮上させた。
一つは芸能界と暴力団の関係がどうなっているのか、という点だろう。紳助は周知のように吉本興業の所属であり、吉本興業と山口組は戦前から親密な関係にあった。山口組といえば三代目組長・田岡一雄と美空ひばりの関係はあまりにも有名だ。
ノンフィクション作家の溝口敦氏がヤクザ世界と芸能界、演歌界の関係をレポートする。
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芸能人と暴力団との交際は、暴力団幹部の誕生日の祝いや組の新年会、事始め、ゴルフコンペへの参加、ツーショット写真の暴露など、関係が明るみに出る度にレベルダウンしていった。
今、北島三郎を紳助の次に危ない演歌歌手とする見方が広がっているが、田岡とひばりのレベルから見れば、恒常的なつながりとはいえそうにない。北島は原譲二の別名で作詞、作曲も手掛けている。稲川会の幹部には演歌ファンやカラオケ大好き人間が多く、自ら新曲を吹き込んでCDを出し、知り合いに配る幹部さえいる。
北島はこうした幹部たちに原譲二などの名で詞や曲を提供し、おまけに稲川会のテーマソングとされる「神奈川水滸伝」も歌っている。同曲はもともと稲川聖城総裁(故人)をモデルにした『修羅の群れ』(映画での主人公は松方弘樹)の主題歌で、稲川会の式事ビデオなどにも多用されている。
他に住吉会のテーマ曲『道』を歌う鳥羽一郎、暴力団と交際して反省の色がない山本譲二、小林旭、前出・松方らも今もって交際を止めそうにないと見られている。
※SAPIO2011年10月26日号