野田政権の発足を受けて、本格的に動き出した東日本大震災の復興財源をめぐる増税議論。政府税制調査会がまとめた案をもとに民主党税制調査会が9月27日に、増税案を決定した。今後、与野党による協議は難航が予想されるが、現時点での増税案は次のようなものだ。
所得税、住民税、法人税に加えて、たばこ税を増税するというもの。所得税は2013年1月から10年間、4%引き上げ。住民税は2014年6月から5年間、1年間当たり500円引き上げられる。そして、たばこ税を2012年10月から、1本当たり国税と地方税を合わせて2円、最長10年間増税するというものだ。
さらに、政府は、社会保障財源の確保のために、消費税率を引き上げる方針だ。毎年1兆円規模で増大する社会保障費を賄う目的で、2010年代半ばまでで段階的に10%まで引き上げるため、2013年に3%引き上げ、2015年にさらに2%引き上げというシナリオが想定されている。
復興増税に加えての消費税アップで、私たちの暮らしにかかる負担が大きくなることは間違いないが、実際にどれくらいの負担増になるのだろうか。9月16日に政府税制調査会が発表した夫婦と子供2人家族の給与所得者の年間負担額のシミュレーションをみてみよう。
所得税が年4%増税となった場合、年収300万円世帯では年間500円、500万円世帯では年間3100円、700万円世帯では8100円の負担増となる。
第一生命経済研究所の試算による消費税増税のシミュレーションでは、消費税率が3%引き上げになった場合、年収300万円世帯なら年8万1917円、500万円世帯なら8万1408円、700万円世帯なら10万2933円の負担増になる。
消費税率が5%引き上げになると、年収300万円世帯なら年13万4046円、500万円世帯なら13万3214円、700万円世帯なら16万8436円の負担増に。復興増税をあわせると、700万円世帯で年17万7036円もの負担増になる。
これだけでも家計には大打撃だが、実際にはそれ以外にも家計を苦しめる要素がある。今年1月からは15才以下の子供がいる世帯では所得税の扶養控除が廃止されており、来年6月からは住民税の扶養控除も廃止されることになっている。
さらに、2010年4月にスタートし、0~15才までの子供ひとり当たり月1万3000円が支給されていた子ども手当も、今年10月から2012年3月までは、0~2才児は月1万5000円、3~12才以下の小学生(第1子、第2子)は月1万円、第3子以降は1万5000円、12~15才の中学生は月1万円となり、多くの家庭が家計がマイナスになる。いまのところ所得制限はないが、2012年4月以降は「児童手当」へと名称が変わり、年収960万円以上の家庭には支給されなくなる予定だ。
※女性セブン2011年10月20日号