男と女にすれ違いはつきもの。カネの貸し借りやモノの売り買いにも、いざこざは日常茶飯事だ。とにかく人間の社会活動にはトラブルがついてまわる。しかし、いざそれに巻き込まれると、法の下にどう立ち振る舞えばいいか、一般人は戸惑うばかり。
そこで頼りになるのが“街の法律屋さん”である行政書士だ。全国に4万人の国家資格者が、プロの視点で授けてくれる文書と知恵は、些細なトラブルでも円満に解決に導いてくれるのだ。
たとえば、「配偶者の不倫発覚」の場合はどうなるか?
会社員のAさん(46)は、スーパーでパートとして働いている妻が店長と不倫していることをメールの履歴から突き止めた。泣いて詫びる妻は許すことにしたが、店長は許せず、慰謝料を請求することにした――。
「近年、不倫に対する慰謝料請求の事例が増えています。『不真正連帯債務』といって、不倫の責任は男女双方が負いますが、現実には、自分の配偶者には家計が同じため請求せず、不倫相手にだけ慰謝料を請求するのがほとんどです」
と話すのは、行政書士で、中谷行政法務事務所所長の中谷彰吾氏。
ちなみに、『カバチタレ!』の原作者で行政書士の田島隆氏によれば、「夫から妻の不倫相手に」よりも「妻から夫の不倫相手に」慰謝料を請求するケースが多いようだ。また、数年前に別れた不倫相手の配偶者から突然、慰謝料の請求書が届くこともある。不倫(不法行為)の損害賠償請求の時効は加害者が判明した時点から3年、行為そのものからだと20年と長い。もう過去の話だからと安心できないというわけだ。
※週刊ポスト2011年10月14日号