夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、ご主人(47歳)がOA機器メーカー勤務の奥様(45歳)。ご主人の出勤後、一人で秋物との入れ替え作業を始めました。
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夏物を仕舞い、秋物のスーツをクローゼットに移している時、スーツの上着右ポケットに何か入っている感触が。取り出すと、どこかの海水浴場で撮った水着姿の若い女の子の写真で、「Kちゃん大好き」の手書き文字が!
Kちゃん!? 主人の名前はK彦です。そういえば、2か月ほど前の日曜日、「上司と湘南へゴルフに行ってくる」と車で出掛けたけど、ゴルフじゃなくて、こんな若い女の子と海水浴場に行っていたんだわ! 悔しーい!
帰宅した主人に「アナタ!」と、写真を突き付けると、「オッ! ボインちゃんだね」「なにトボケてるのよ!」「僕が? し、知らないよ」「シラを切るつもり!? じゃあ、Kちゃんって誰なのよ? アナタでしょ!」「た、確かに僕はKだけど、うちにはもう一人いるだろ!」あ、そうだ! 長男で大学生の息子はK太郎。主人の名前を一文字取って付けたんです。
息子を呼んで聞くと、「ごめん! ママは僕の部屋を掃除するから、写真が見つかるとまずいと思って、パパのスーツに隠したんだよ。まさか、こんなに早く衣替えするとは思わなかったからさ」ですって。
主人も「ほんと、ママは早とちりだし、何でも早いもんなァ」って、「早いのはアナタのほうでしょ! 一昨日の夜も、アッという間に……」と、咽まで出かかった言葉を「まずい、息子の前だったわ」と、グッと飲みこんだ私でした。
※週刊ポスト2011年10月14日号