テレビ業界を大混乱に陥れることとなった、暴力団との関係が明らかになた「島田紳助スキャンダル」が、ここにきて一気に新たな展開を見せつつある。ジャーナリストの須田慎一郎氏が報告する。
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某メガバンクの幹部はこう証言する。
「実は金融庁が内々に、外資系大手金融機関2社に対して、非公式ベースでヒアリングを実施しているのです。この2社は、そのいずれもが島田氏のメーンバンクと目されるところ。金融庁の狙いについては明々白々でしょう。当行としてもあわてて、島田氏絡みの取引をチェックしたところです」
それにしてもなぜ金融庁は、いわゆる“紳助案件”に強い関心を示しているのだろうか。金融庁関係者がその事情を説明する。
「一連の金融庁の動きは、警察サイドの意向を受けてのものです。この件に関して警察が直接動くには根拠が希薄であまりにも刺激的過ぎる。しかしだからといって正面切って金融庁が『特別検査』に動くのも同様に根拠が希薄です。このため非公式ベースのヒアリングとなったのです」
ここで注目すべきなのは、金融庁に対して“紳助案件”に関する情報収集の依頼をしたのが警視庁であるという点だ。つまり警視庁は、紳助に対する事実上の内偵捜査に着手したと見ていいだろう。前出の金融庁関係者はこう話す。
「先だって、預金契約上の暴力団排除条項(暴排条項)の適用を受け、ある広域暴力団組長の預金が強制解約になるというケースがありました。今年10月から暴排条項第二弾ということで、当座預金と融資については言うところの“周辺者”にまで適用の範囲は広がります。“紳助案件”に対する動きも、そうした流れを受けてのものなのです」
暴力団構成員とその周辺者についてはあらゆる金融取引から排除していく、というのが当局及び金融業界の総意と言っていいだろう。今後の注目ポイントは、紳助の資産形成過程を巡っての違法行為の有無、ということになる。
どうやら「紳助スキャンダル」の第二幕が開けそうな空気がただよってきた。
※SAPIO2011年10月26日号