関係団体への6250万円の献金など、菅政権下で疑惑が急浮上した民主党と北朝鮮との「親密過ぎる」関係は、野田政権下でも続くのだろうか。菅直人氏を辞任に追い込んだ「北朝鮮関連献金」疑惑をスクープしたジャーナリストの田村建雄氏が検証する。
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メディアの関心はすっかり「ドジョウ内閣」に移ったが、その誕生に際し、菅直人氏はある閣僚ポストに強くこだわった。民主党内の反菅グループに属する国会議員が話す。
「菅氏は野田政権誕生にグループを挙げて協力しましたが、その見返りとして求めた唯一のポストが法相だったと言われています。しかも、実際に法相ポストに就いたのが、グループのメンバーで、親北朝鮮と目される平岡秀夫氏だったことには、グループ内でも驚きの声が上がっています」
平岡法相とはどんな人物か。
平岡氏は1954年生まれの57歳。東大法学部在学中に司法試験に合格し、卒業後は旧大蔵省に入省したエリートだが、2000年に衆院議員になってからは左派的かつ親北朝鮮的言動が目立つ。党内左派の中堅・若手議員による「リベラルの会」では代表世話人を務め、民主党議員を中心とした超党派の議員連盟で、北朝鮮との融和的な外交政策を目指す「朝鮮半島問題研究会」の中心メンバーでもある。
「2006年、朝鮮大学校の創立50周年記念祝賀宴に出席して祝辞を述べました。また、翌07年、北朝鮮に対する制裁をやめ、『対話と人道支援』を行なおうと呼び掛ける親北朝鮮系市民団体の集会にも参加し、来賓挨拶に立っています。かつては防衛庁の省昇格に反対し、最近では普天間飛行場の閉鎖論を唱えました」(民主党関係者)
「民主党娯楽産業健全育成研究会」という議員連盟があり、パチンコ業界を風俗営業法の適用範囲から除外し、換金行為を完全合法化することなどを求めているが、平岡氏はその常任幹事だ。永住外国人に地方参政権を付与することを主張している民主党の「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」のメンバーでもある。
ちなみに、2007年にテレビ出演した時には、少年による殺人事件の被害者の母親を前にして「加害者にも事情がある」と発言し、物議を醸したこともある。今回の法相就任時には、当面死刑執行を見合わせると受け取れる発言をしている(その後、「執行しないという意味ではない」と説明)。
菅氏がそんな平岡氏を法相ポストに押し込んだ理由はどこにあるのだろうか。
言うまでもなく、法務省が所管するのが、朝鮮総連など北朝鮮関係の団体をウォッチする公安調査庁だ。その法務省のトップに親北朝鮮、左派と目される人物が座ったことに公安調査庁の現場では警戒感が広まっている。
※SAPIO2011年10月26日号