最近は夫婦間に重大な問題が発生しても離婚しないケースが増えているという。たとえば、自営業者のC氏(61)は、一昨年ひとり息子が結婚して家を出たのを機に夫婦関係の悪化が表面化した。しかし、老後の寂しさや苦労を考えると、互いに離婚に踏み切れなかった。
『男の離婚~賢く有利に別れるための6つの成功法則』(メタモル出版刊)著者で「離婚サポーター」の肩書きも持つ行政書士の露木幸彦氏が話す。
「最近、夫婦間に深刻な溝ができても離婚しないケースが増えています。といって、問題を放っておくわけにもいかない。そこで、関係修復のための条件、裏返せば、これを破れば本当に離婚する、という条件を記した“修復契約書”へのニーズが高まりつつあります」
条件とは、例えば、夫は酔って妻を罵倒することはしない、妻は家事を怠らない、といったことだ。なかにはセックスの頻度について取り決める場合もあるという。
「逆に、双方に離婚の意思が固い場合でも、決めておかなければならないことはたくさんあります。子供の親権をどちらが持つのか、養育費をどうするのか、親権を放棄した側と子供との面会はどうするのか、一緒に住んでいた家が持ち家ならば、どちらがそこに住むのか、ローンが残っていれば、それをどうするのか……といったことです。
再婚した場合はどうするのか、死亡した場合の財産相続はどうするのか、といった問題もあります。そこで、こうしたこと全てを記した『離婚給付契約公正証書』を作成することを勧めています」(前出・露木氏)
※週刊ポスト2011年10月14日号