小脳、脳幹から脊髄にかけての神経細胞が徐々に障害されて消失し、運動失調や自律神経障害などが起こるのが脊髄小脳変性症だ。
数多くの疾患の総称で、歩行がふらつく、ろれつが回らない、字が思うように書けない、手が震える、しっかり立っていられないといった運動失調症状のほか、起立性低血圧や排尿障害などの自律神経障害が主な症状だ。
遺伝性が3割、非遺伝性が7割で、一部の遺伝性疾患を除き、成人以降に発症し徐々に症状が進むが、命にかかわるものではない。
東京医科歯科大学医学部附属病院神経内科の水澤英洋教授に話を聞いた。
「この病気は原因不明といわれていますが、多系統萎縮症の蓄積たんぱくが同定され、多数の原因遺伝子が判明するなど、研究が進められています。発症に関するメカニズムも徐々に解明されており、将来的には根本治療の可能性も考えられます。
現在の対症療法のほかにも、適切なリハビリテーションを行なうことで日常生活の質がかなり向上することがわかっています」
使わないことで筋力が低下する廃用性萎縮による二次症状予防のためにも、リハビリテーションは重要だ。専門家に症状や状態に応じた適切なメニューを作成してもらうが、家庭や職場など、日常生活でもできることも多い。継続することがなによりも大切だ。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年10月14日号