菅政権下で疑惑が急浮上した民主党と北朝鮮との「親密過ぎる」関係は、野田政権下でも続くのだろうか。民主党政権になってから“北朝鮮優遇策”が続々と復活している。菅直人氏を辞任に追い込んだ「北朝鮮関連献金」疑惑をスクープしたジャーナリストの田村建雄氏が検証する。
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北朝鮮との親密さを窺わせる関係は、民主党においては(6250万円を北朝鮮関係団体に献金した)菅直人氏や(北朝鮮との融和的な外交政策を目指す「朝鮮半島問題研究会」の中心メンバー)平岡秀夫法務相ら特定議員に限った話ではないようだ。
例えば、この夏、産経新聞の調査により、2001年から10年にかけて、民主党の北海道総支部連合会が朝鮮総連傘下の「金剛山歌劇団」の札幌公演でのパンフレットに「歓迎 金剛山歌劇団」と題した広告を出していたことが明らかになった。支出総額は50万円だが、税金が原資の政党交付金が使われていた。
2009年に民主党政権が誕生すると、北朝鮮本国は朝鮮総連に対し、積極的に民主党にアプローチし、交流を深めるように指示を出していた。09年末の朝鮮総連中央常任委員会の決定書には、それに呼応するように、10年以降の課題として、民主党政権の対北朝鮮政策を転換させて06年以来の制裁を撤回させること、2002年の日朝平壌宣言に従って過去の清算をベースに国交正常化に本格的に向かうよう総連が活動することが掲げられていた。
これだけではない。最近とみに憂慮すべき様々な事態が起こっている。
今年6月15日には、約2年間休眠していた「日朝国交正常化推進議員連盟」が会合を再開した。超党派の議員連盟ではあるが、副会長の一人は菅氏の側近で、竹島の領有権放棄を日本に求める「日韓共同宣言」なるものに署名した土肥隆一衆院議員である。
7月13日には、翌日に都内で開催されるアジア・オリンピック評議会総会に出席する北朝鮮国際オリンピック委員会の入国が「特例措置」として認められた。2006年からの制裁以降、原則として北朝鮮国籍保有者の入国は禁止されており、要人の入国は初めてのことだ。7月21日には、中井洽・元拉致問題担当相が極秘に中国の長春を訪問し、北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化担当大使と会談した。そして、総理辞任直前の8月末には突然、菅氏は置き土産とばかりに、朝鮮学校への授業料無償化適用の再審査を文科省に指示した……。
野田民主党のセンセイたちは、常に北朝鮮が自分たちを利用しようと虎視眈々と狙っている事実を自覚し、猛省すべきだ。それが政権与党の政治家の責務である。
※SAPIO2011年10月26日号