暴力団との交際から芸能界引退に追い込まれた島田紳助の騒動は、多くの人に芸能界と暴力団の“切っても切れない関係”を再確認させた。なぜ両者は深く付き合うのか。ノンフィクションライターの窪田順生氏がレポートする。
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まず、最も多い「芸能事務所」の場合、基本的にはトラブル処理がメインとなる。
大手芸能事務所社員が明かす。
「最近は減りましたが、地方のイベントやコンサートなんかを仕切っている興行師はだいたい暴力団。先輩社員から紹介されて自然にお付き合いが始まるパターンが多い。
何かあった時の“保険”ということで、とりあえず関係を続けている事務所は多いと思います。世間のイメージでは、演歌とヤクザは“近い”感じですが、実際はアイドルもポップミュージシャンも変わりはないです」
女優やアイドルを多数擁する大手事務所ともなれば、一般的にはクリーンなイメージだが、暴力団との関係も確かに存在しているケースがある。
「ある人気女優が無名時代に同棲していた男が、某組織に属するシャブの売人なんです。その過去をきれいさっぱり“清算”するのに暴力団の力を借りたと言われています」(芸能記者)
脅迫、モミ消し……様々な“汚れ仕事”を暴力団が担っているというわけだが、もちろん領収書がきれる「謝礼」など払えるわけがない。そこで表からはわからない様々な形で利益供与が行なわれている。ポピュラーなのは、「違法商品の黙認」だ。
たとえば、コンサート会場の近くや、露店などで売られる生写真や、肖像権の許可をとらずに販売されている海賊版を黙認することで、「顧問料」としているケースがある。
某人気アイドルグループのマネジメント事務所は暴力団の影がないのに、これまで目立ったトラブルがないのは、このような手法で複数の組が「ケツ持ち」しているからだという。
また、コンサート会場近くでダフ屋が売っているチケットも、実は芸能事務所から暴力団への“迂回献金”として機能することがある。事務所に割り当てられるチケットには、初めから暴力団に横流しする分がちゃんと含まれており、これをコンサートが円滑に行なわれるための「みかじめ料」としているのだ。
このような利益供与の中には、驚くことに“商品”そのものを差し出してしまうケースまである。
「某事務所は所属するグラビアアイドルに暴力団幹部や政治家に酒席で接待をさせています。普通は数回限りですが、中にはそのまま親しくなって個人的に交際してしまう者もいる」(前出・芸能記者)
数年前、警視庁の捜査員の資料がウィニーで流出し、暴力団組長との関係者リストにテレビなどにも出演する某グラビアアイドルの名前があった。一部週刊誌では、「情婦ではないか」と騒ぎになったが、そこまでの関係ではなく“接待担当”から個人的に親しくなったのではと言われている。
※SAPIO2011年10月26日号