東京都で10月1日から施行された暴力団排除条例に戦々恐々としているのは芸能界だけではない。政治家たちも、自らに捜査のメスが及びはしないかと肝を冷やしているのではないか。
政界と暴力団の癒着ぶりをよく知る事情通3人が集まれば、話題が尽きることはない。顔を揃えたのは現役代議士秘書であるA氏と、大物議員たちと闇勢力の付き合いを間近に見てきた自民党系の元議員B氏、そしてベテラン政治ジャーナリストのC氏である。
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A秘書:昔に比べれば表に出ることは少ないですけど、暴力団関係者との付き合いは続いていますね。特に選挙の時は彼らの存在が切り札になっている。
この前の総選挙でも、ある四国の有名代議士が地元の暴力団に1億円を積んで票のとりまとめを頼んだと噂になりました。おかげで僅差で逃げ切ったというのが通説です。選挙のわずか1週間前の依頼だったにもかかわらず、効果はバツグンだったらしい。他の地域では接戦ばかりだったのに、その暴力団の地元の町ではライバル候補にダブルスコアの差をつけた。以降、その議員は地元のヤクザに頭が上がらない。
ジャーナリストC:政治家の「ヤクザ選挙」なんて話は、永田町で取材していると山のように聞きます。古くから地元への公共事業予算獲得の見返りに暴力団を動かして票を得てきた伝統がある。地元に強い地盤を持つ代議士でヤクザと関わりを持たない者を探すほうが難しい。自民党政権の時代は、公共事業の配分から人の手配まで、すべて地元の顔役となるヤクザと結びついていた。もっとも、我々に書かれるようなシッポを出すケースはあまり多くはありませんでしたが。
B元議員:確かに、自民党政権時代の暴力団との結びつきは議員個人のレベルにとどまらなかった。最大派閥の田中派では“山口組担当”や“稲川会担当”の議員を決めて組織的に対応していたというのは党内で常識とされた話だ。竹下登さんが総裁選に出るときに皇民党事件(※)が起こったのも、田中角栄を裏切った竹下さんへの闇社会の攻撃だったといわれている。
※皇民党事件/1987年、宮澤喜一、安倍晋太郎らと自民党次期総裁を争っていた竹下登が、右翼団体「日本皇民党」から、「日本一金儲けのうまい竹下氏を総理に」と褒め殺しの街宣をかけられた事件。
※週刊ポスト2011年10月21日号