昔から目に入れても痛くないものの代名詞が孫だった。しかし、時間や愛情、お金をどう注いでいくべきか、頭を悩ませている人も少なくない。いま、孫とどう向き合うべきか。田原総一朗氏は(77歳)「僕は、孫のケンカを止めようとする親を止める」という。以下、孫に関し田原氏が語る。
* * *
孫は双子の男の子で、いま小学1年生。僕は「オーパ」って呼ばれています。本当はオーパパ(大きなパパ)のつもりだったんでしょうけど。
兄弟でも生まれてきた時間は2分しか違わないのに、性格も好き嫌いも全然違うから面白い。弟は陽気でやたらと調子がよくて、兄はちょっと神経質なところがあって。食べ物も兄は魚、弟は肉が好きっていうくらい違う。月に2、3回は娘家族と一緒に食事をするけど、だから行くのは中華屋。兄はラーメン、弟はチャーハンを食べれば満足するから、簡単に済むんです。安いしね。
僕が孫にいっているのは、「人の役に立つ人間になれ」、それだけ。兄のほうはお医者さんになるっていっているけど、次の日には「亀になりたい」とかいい出す(笑い)。弟のほうはずっと恐竜。「大きくなったら恐竜になりたい」といっています。
僕がテレビに出る人だというのはわかってますね。だから僕のいうことはよく聞きますよ。親に「難しいことはオーパに聞こう」といわれているらしく、難しいことも聞かれます。「神様はいつからいるの」とか。
でも、僕がそうして孫育てに関わっているのを見て、娘たちは怒ってますよ。自分たちのときは知らん顔をしていたのに、といって。子育ての頃はテレビの仕事をしていたから、しょっちゅう泊まりがあったし、余裕がなかった。下の娘なんて、僕が帰ってきて抱っこしようとしたら泣きましたからね。
僕らの子育ての時期は高度成長期のはじめで、働くことに必死だった。いま、おじいちゃんの孫育てが流行ってるらしいけど、やっと余裕が出てきたんでしょう。
※週刊ポスト2011年10月21日号