妻とはもう10年以上も“ご無沙汰”。さりとて、不倫に走る勇気もカネもない。だいたいそんなにモテれば苦労しないよ。それでも、まだまだ男だもの、いくつになっても女の肌が恋しくなる――。そんなシニア世代の密かな願いを叶えてくれるのが風俗店だ。性産業は“草食系男子”は客にならないと見たのか、今や定年退職した60歳以上の団塊世代を狙って、業界をあげて顧客獲得に乗り出している。その最前線をレポートする。
日本一のソープ街・吉原では、年金が支給される偶数月の15日からしばらくの間は決まって、ホクホク顔の高齢者の客が急増するという。彼らは「吉原年金族」と呼ばれている。
風俗情報誌『俺の旅』編集長の生駒明氏が話す。
「早朝から営業しているある格安ソープランドの場合、午前中の待合室は、まるで病院のロビーのようにおじいちゃんだらけ。他の風俗でも同様で、やはり午前中から営業している池袋のあるお触りパブでは、年金支給日には、朝からおじいちゃんたちが嬉しそうな顔をして若い娘のおっぱいを揉んでいます」
30歳未満の客はお断わりという派遣型アロマエステ『プレシャス』(東京・池袋)の店長・早川淳氏も、
「ウチの場合、お客様の平均年齢は50代半ば、最年長は80歳過ぎのおじいちゃんで、年金受給者も多い。なかには、お気に入りの女の子に『月々ウン万円でどう?』と援助交際を持ちかける人もいます。もちろん店としてはお断わりしているのですが」
と苦笑いする。
そこで酒井俊氏は、6年半前、客を30歳以上に限定している派遣型風俗店(デリバリーヘルス)『東急沿線の従順な人妻たち』(東京都)を開業した。派遣型の場合、女性が客の自宅やホテルに派遣されてくるので、客は他の客と顔を合わせることがなく、シニアには好都合だ。
同店の場合、客の年齢別割合は、30代がわずか5%弱であるのに対し、40~59歳の「ナイスミドル会員」が57%、60歳以上の「ナイスシニア会員」が38%強も占めている。最高齢は75歳だという。
※週刊ポスト2011年10月21日号