「1分話して36億円稼ぐ」――
今月5日、膵臓がんで亡くなったスティーブ・ジョブズ氏(享年56)。米・アップル社の共同創始者で前最高責任者(CEO)でもあったが、一方でプレゼンテーションの達人として名を馴せた。
「手がけているのはこれまでになかったものだ。やっていることは偉業にほかならない」
これは彼が交渉の場でよく使った言葉だが、彼はいつもその言葉の力で人を動かしてきた。
12年ぶりにアップルの取締役に返り咲いた際、アップルの社長を探していたジョブズ氏は、当時ペプシコーラの社長を務めていたジョン・スカリー氏(72)に目を付ける。相手はジョブズ氏よりも16才も年上。18か月の交渉の末、こういって口説いたのだ。
「残りの一生を砂糖水を売って過ごしたいですか、それとも世界を変えるチャンスを手にしたいですか」
2005年にスタンフォード大学の卒業式でスピーチしたこの言葉は、いまも語り草となっている。
「ハングリーであれ、愚かであれ」
ほかにもこんな名言を残している。
「何かを捨てないと、前に進めない」
「探し続けなくてはならない。妥協はだめだ」
「今日は素敵なことができたと思いながら眠りにつくこと。それがいちばんだ」
彼が残した業績はもちろんだが、尽きることのなかった力強いスピーチこそ永遠に胸に響く。
※女性セブン2011年10月27日号