人口減少社会に突入した日本で巻き起こった空前のブーム。昨年1月に発売された『孫の力――誰もしたことのない観察の記録』(島泰三著=中公新書)が火付け役となる形で、“孫ブーム”が始まった。今年5月に創刊準備号が発売された雑誌『孫の力』(木楽舎)は早速、隔月刊化が決まった。
“孫ブーム”のなか、賢くて、素直で、言葉づかいがキレイで、気持ちも優しい……“サザエさん一家”のタラちゃんは、波平役の声優・永井一郎氏曰く「まさに理想の孫」なのだという。どうすればこんな孫が育つのか。
「サザエさん一家は3世代7人が同居する家族。マンガの連載が始まった当時は1世帯の平均人数が約5人でしたから、そう不思議ではありません。そのなかで波平とフネは、基本的な孫の教育はマスオやサザエに任せ、口出しはしないけれど見守っているというスタンスをとっています」
と話すのは、東京サザエさん学会会長で慶応大学名誉教授の岩松研吉郎氏。祖父母が干渉しなくても、大家族のなかでタラちゃんは自然に人間関係を知り、社会性を学んでいるという。
「カツオやワカメが育っていく過程や、怒られている姿を見ているので、『こういうことをしたらいけないんだな』と自然にわかる」(タラオ役声優・貴家堂子さん)
では、祖父は孫とどう接すればいいのか。前出の永井氏はこういう。「サザエ一家にはクーラーも車も何もない。でも、タラちゃんは幸せなんです。おじいちゃんが孫を甘やかして、親を超えて余計なことをしてしまうのは考えもの。挨拶とか、靴はちゃんと揃えるとか、そういった生活の基本、小さなことをきちんと教えていくことが大切だと思います」
※週刊ポスト2011年10月21日号