秋本番、旬の魚料理が食べたい! ……というわけで、グルメ雑誌『アリガット』誌の元編集長・小川フミオ氏がセレクトした、『快積 八衛』(東京・人形町)の「焼き魚(カマス)定食」を紹介します!
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決まった料理を一年中出す店もあるけれど、人形町の割烹『快積 八衛』は日替わり。ご主人が毎日築地に通って仕入れる魚を、焼き物、煮物、揚げ物と3通りのランチに仕立ててくれる。
たとえば焼き物はこのカマス。立派な大きさで、脂ののりもよい。注文が入ってから炭火で丁寧に焼く。同じ日の煮物は、イワシの中でも最高級といわれる大阪・岸和田のものが2尾だった。金色に輝く皮をめくると脂がのっていて、こちらもおいしい。煮物も揚げ物も、作り置きはなし。
日替わりだから、アジフライの日もあれば、大きなアナゴを天ぷらにする日も。秋には秋の、冬には冬の、旬の魚が供される。だから毎日通う人がいても、ちっとも不思議ではない。
もうひとつ、この店の名物が羽釜で炊いたご飯だ。おこげもできる炊き立てのご飯が目当て、という常連も少なくないとか。日本人はやはりご飯が好きだなあと、嬉しくなる話だ。
「働く人たちにお腹いっぱいになってもらいたい、と思ってランチを作っています」
主人の沼野友洋さんは、780円でランチを出す気概を語ってくれる。おいしい魚は働く活力に。サラリーマンの味方の割烹だ。
■『快積 八衛』の「焼き魚(カマス)定食」780円
【住所】東京都中央区日本橋人形町2-17-4 山田ビル1階
【営業時間】11時半~14時半、17時半~23時(22時LO)
【定休日】日、祝
【カード】可
大阪などで修業した主人が、昨年7月に開店。ランチは本文にあるとおり、焼き魚と煮魚と揚げ物(天ぷら)と3種類用意される。すべてその日に仕入れた魚を使う。夜はコース4000円~。刺身をはじめ、旬の魚料理が用意される。バリアフリーのトイレなど、あらゆるお客をもてなそうという気持ちを持った店だ。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2011年10月21日号