アンチエイジングの重要な要素として注目されているのが、「腸内細菌」だ。最大の免疫器官である腸内に、善玉菌、悪玉菌などが約100兆個生息している。老化や食生活の乱れ、ストレスなどで腸内細菌のバランスが崩れると、免疫機能が落ち、感染症やアトピー、花粉症なども起こる。若々しく元気に生きるには、腸内細菌を活性化して腸年齢を若く保つことが大切だ。
小腸は消化吸収のために6~7メートルの長さがあり、小腸の表面を覆っている絨毛と呼ばれるビロード状の突起を広げると、その面積はテニスコート1面分にもなる。消化酵素が分泌されて食物から栄養分を吸収するが、その栄養や食物を安定的に送るために、蠕動運動を支える神経系が発達している。
一方、大腸は1.5~2メートルで、腸内細菌が存在し、人間の酵素では分解されなかった食物繊維などを分解吸収する。生命を脅かす病原細菌は口から入りやすく、食道から胃を通過すると、腸にはその侵入をブロックするための仕組みができている。
日本大学生物資源科学部の上野川修一教授に話を聞いた。
「日本人の平均寿命は、昭和30年代と比べ男性が82歳、女性86歳と驚異的に伸びました。一方、食生活の洋風化で糖尿病や高血圧などの生活習慣病や大腸がんなどが急激に増えています。腸内細菌は食物繊維の多い食品を餌に活動するので、それらが少ない洋風の食事は腸内細菌にとってはいい環境とはいえず、腸年齢をぐっと押し上げる結果になっています」
腸年齢を若くする機能性食品として、ヨーグルトなどのプロバイオティクス、オリゴ糖などのプレバイオティクスが販売されている。効果的な摂取により、免疫機能や消化管の運動性向上、アレルギー予防、腸内感染防止などの効果が期待されており、これがアンチエイジングに繋がる。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年10月21日号