10月5日に亡くなったスティーブ・ジョブズ(享年56)は実に仕事熱心で部下のやる気を引き出すことがうまかったという
例えば、ジョブズが放った特大ホームランというべきPC「マッキントッシュ」の開発メンバーは、「週80時間労働、それがうれしい」と大書されたTシャツを着て仕事に臨んでいた。
ジョブズの製品に対するアイデアは革新的なうえ注文が細部にわたり、しかも突然的で膨大な量となる。いきおい開発チームは、連日の残業どころか、徹夜も当然という状況に追い込まれた。それでもスタッフは奮発し、意気揚々とデスクに向かっていたのだ。
ある経済誌記者が語る。
「ジョブズの人使いの荒さは伝説となっています。でも、彼は稀代のアジテーターであり、彼の言葉はモチベーションをアップさせました。部下たちは不可能を可能にする気になり、ジョブズのためにがんばろうと思ってしまうんです」
とはいえ、ジョブズは部下を滅多に褒めないばかりか、部下を貶し、罵倒した。
アップル社で働いた経験を持つ、経営コンサルタント竹内一正氏はいう。
「それでもジョブズは前人未到の業績を築き上げていきます。彼は自分の弱点を取り繕うのではなく、強みを徹底的に尖らせることで成功を手にしました」
※週刊ポスト2011年10月28日号