財務官僚に操られているとまでいわれる野田政権では、次々と増税や年金支給年齢引き上げの議論が出てきている。
ところが増税を推し進める官僚の衣・食・住は税金で手厚く賄われているのだ。たとえば「住」の面をみてみよう。
野田首相の朝霞住宅視察でクローズアップされた「格安豪華官舎」は全国にある。朝霞住宅の建設は「5年間凍結」されたものの、現在、官舎は約22万戸あり、国家公務員全体の4割が入居できる。
周知のように家賃は格安。東京ウォーターフロントに総事業費140億円をかけて建設(今年1月入居開始)された地上36階建ての「公務員宿舎東雲住宅」(900戸)は、大型ショッピングセンターや保育所を併設し、隣には合同庁舎も建設される職住接近の理想的な環境だが、家賃は65平方メートルの3LDKで月額4万3610円。周辺地区の民間のタワーマンションの家賃相場は同規模の広さで約25万円前後だから、6分の1以下である。
これが、どれだけの差を生むか。民間企業の場合、住宅手当(月額)は平均約1万6000円(中央労働委員会調べ)で、自己負担は23万4000円。対する役人の東雲住宅の家賃は4万3610円だから、月額19万円あまりの差がつく。年間なら約228万円浮くのである。
これは役人の実質的な給与補填にあたる。
家賃だけではない。東雲住宅は別棟の自走式立体駐車場(225台)を備え、駐車場料金は月額約6000円。周辺の立体駐車場の相場は安いところを選んでも2万円は下らない。差額を考えると、マイカーを持つ世帯には、年間16万8000円の給与補填があるのと同じだ。
公務員住宅の家賃は都心にいくほど割安になる。例えば、東京・六本木の公務員宿舎は2DK(50平方メートル)で家賃2万1500円、駐車場は6850円といずれも民間相場のざっと10分の1である。
※週刊ポスト2011年10月28日号