銀座のネオン街は常に時代の〝勝ち組〟たちに愛されてきた。高級クラブで飲むことが成功の証とされ、その時々の最も勢いのある業界、人物が街を闊歩した。しかし今、銀座もまた未曾有の不景気に覆われている。黄昏の銀座――そこにはもうひとつの物語があった。
銀座のクラブホステスにとって、源氏名は商売の要。名前を売り贔屓の客を増やし、いずれは自分の店を持ちたい――そんな夢を抱きながら、店を変わっても同じ名前を使い続けるホステスは多い。
ところが、とある銀座の高級クラブで、最近こんな一幕があった。
「今日から新しくみんなの仲間になった『A花』ちゃんだ。仲良くしてくれ。それから、『A』ちゃんは先週で店を辞めることになった。よろしく頼む」
店長の挨拶を聞いていた女の子たちは、横で頭を下げるA花さんを覗き込むようにジ~ッと見つめて目が点になったという。それもそのはず、目は以前よりパッチリとし、鼻も若干高くなった感じだが、どこをどう見てもAちゃんその人ではないか。辞めた? 別人? どういうこと? 皆のとまどいをよそに、本人は平然と微笑んでいた……。
実は今年6月、『フライデー』が自民党の後藤田正純衆議院議員(42)の浮気現場写真を掲載したが、そのお相手だった銀座クラブホステスこそ、Aさんなのである。
記事によれば、後藤田氏は六本木のバー内でAさんの肩に手を回してキスをするわ胸を揉みしだくわのご乱行。そのうえ彼女を赤坂の衆院議員宿舎にお持ち帰りしてしまった。その一部始終を撮られてしまったのだから、当然、銀座も永田町も大騒ぎになったのは記憶に新しい。
「Aちゃんは騒動の後、表情も暗くて、どこか思い詰めたような感じだった。体調を崩して週に1~2回しか出勤しないことが多く、同伴もめっきり減った。あれから4か月あまり経って、最近ではようやく表情が明るく、吹っ切れた印象になってきたんだけどね」(常連客の一人)
店の関係者が嘆息しながら語る。
「お客さんの中には、まだ『お前だろ、あの写真は』とからかう人がいるんです。彼女は笑ってやり過ごしてましたが、やっぱり辛かったんでしょうね。
でも、本人としては、ホステスとして悪いことはしていないという思いもあるし、常連客がいるから、周囲に何をいわれようと店を辞めるつもりはない。そこで騒ぎの当事者Aは辞めたことにして、よく似てはいるが顔も名前も違うA花として、心機一転出直すことにした、ということのようです(苦笑)」
これぞ銀座ホステスのド根性というべきか。そこまでするとはアッパレ、拍手したくなってくる。
ある店の関係者の話。
「彼女は親しいホステスに『鼻筋を高くして、目をパッチリさせた』と話していたようだね。『(整形は)そんなに高くも危なくもないよ』なんて笑っていたみたいだけど、どこかからまとまったお金が入って、それを使って整形したなんて噂している子もいるよ」
※週刊ポスト2011年10月28日号