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このままだと国債デフォルト、ハイパーインフレと大前研一氏

 失われた20年を経てなお、立ち直ることの出来ない日本経済。立ちすくんでいるだけならまだしも、日本とアメリカにいたっては間違った方向に進んでいると、大前研一氏は指摘する。最新刊『「リーダーの条件」が変わった』で、新たなビジョナリー・リーダー像を提示した大前氏が警鐘を鳴らす。

 * * *
 日本は「失われた20年」から脱却できないのに、子ども手当や高校の無償化、農家の戸別所得補償などのバラ撒きを行ない、東日本大震災からの復旧・復興も財源問題がネックとなって遅れている。小さな政府にして産業を活性化しなくてはいけない時に、大きな政府一直線である。
 
 アメリカも、シリコンバレー以外は沈滞している。この20年間、ピクリとも動かずに長期停滞している日本は、まさに成熟した先進国の退廃、腐敗、沈降、衰退の先行指標であり、その日本から15年遅れで同じパターンに陥っているのがアメリカなのである。

 実際、オバマノミクス(オバマ大統領の経済政策)は、全く日本と同じ轍を踏んでいる。リーマン・ショック後のアメリカは銀行を3つに集約し、金融緩和を進めてゼロ金利政策を導入した。そしてオバマ大統領はこれまでに、約8300億ドルの景気刺激策や過去最長の99週間の失業給付などを成立させた。

 経済が回復して失業率が下がらないと来年の再選に赤信号が灯るため、今年9月には、インフラ整備事業の積み増しや雇用促進のための税制優遇を柱とした約4470億ドルもの新たな景気・雇用対策を打ち出した。これらの政策は、グローバル経済を推し進めてきたアメリカがケインズ経済に戻ったということにほかならない。所得税増税というところまで野田政権と同じである。

 だが、ケインズ経済学は閉鎖経済でしか通用しない時代遅れの経済学だ。国境が閉鎖されている場合は、金利を下げれば企業や個人がお金を借り、設備投資や消費をして景気が良くなる。しかし、21世紀のボーダレス経済では、ケインズ経済と逆さまの現象が起きる。

 つまり、金利を下げたら、お金は高い金利(リターン)を求めて世界に出て行ってしまうのだ。現に日本が金利をゼロにしたら「円キャリー」(円で投資資金を調達すること)になり、今は「ドルキャリー」が起きてアメリカのお金が金利の高い新興国にどんどん流れている。アメリカの優良企業も、無能な政府に見切りをつけて国外に脱出している。
 
 だからアメリカのトップ企業が世界で稼ぐ一方、国内景気は良くならず、雇用も全く増えていないのだ。ところが、このボーダレス経済の本質を日本政府もアメリカ政府も未だに理解していない。

 この構図を俯瞰すると、成熟国に蓄積したお金は高いリターンを求めて新興国に流れる。自国に置いていても金利がほとんどないし、投資しようにも魅力的な機会がない。世界経済の構図、お金の流れが抜本的に変わったのである。

 では、成熟した先進国は、これからどうすればよいのか? 繁栄を国内に閉じ込めるためにボーダレス経済を否定し、国境なきヒト、モノ、カネ、企業の流れを止めて完全な閉鎖経済に戻るのか?

 だがそれは、端的に言えば「北朝鮮」のようになることを意味する。つまり、繁栄を維持するどころか、滅びへの坂道を転げ落ちるだけなのだ。

 また、人件費が高く、政府の規制がきつく、常に労働組合を気にしなければならない国で、雇用の創出に協力する奇特な企業は寡聞にして知らない。要するに、それは不可能なことであり、ボーダレス経済の中で次の世紀も成熟国が再繁栄する方程式は今のところ見いだせないのである。

 しかし、そういうことをしろと主張しているのが、社民党であり、民主党の一部である。「分配」の論理で、漁民に漁業補償を、農民に戸別所得補償を、などと叫んでいる。バラ撒く財源がなくなっているのに分配を続けようとすれば、将来から借りてくるしかない。すなわち、返済のメドが立たない国債の乱発である。

 このまま行くと明日の日本に何が待っているかは、非常にはっきりしている。国債のデフォルト(債務不履行)と、それに続くハイパーインフレだ。

 そうなれば、国民の資産である預貯金や年金、生命保険などは紙屑同然となる。国家が国民の富を奪う方法は税金だけではない。国家の借金を帳消しにする国債のデフォルトもその1つだ。『すばらしい新世界』(ハックスリーの小説)ならぬ“すばらしい破綻世界”が到来するのである。

※SAPIO2011年10月26日号

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