国内

日本橋学館大学 「アルファベットの書き方」の講義内容とは

 インターネットで「中学生レベル」「バカ田大学」「偏差値40だが実質は測定不能」などと嘲笑を浴びた日本橋学館大学の「基礎力リテラシー」。これに対し大学側は、「質の低下した学生に基礎学力をつけ、立派な社会人を育てたい」という反論を寄せた。そして今回、横山幸三・学長(72)がインタビューに応じ、同大学の教育論について語った。

 * * *
 大学生の質の低下は長い教員生活で確かに感じます。

 筑波大学で教えていた、約10年前の話です。私は英語教師ですから、板書を筆記体で行なっていました。すると学生から「読めない」といわれた。その学生たちは、そもそも中学・高校時代に筆記体を学んでいなかったのです(※)。さすがに稀ではありますが、本学の学生にはアルファベットの小文字の「b」と「d」の区別がつかない学生がいたと聞いています。

 基礎学力を強調するのは、本学の教育目標が、むしろ、その先の専門性を高めて社会に役立つ人材を育てることにあるからです。

 本学は総合経営、人間心理、総合文化という3学科を設置し、その専門教育の中で、臨床心理士などの資格取得を目指しながら、将来の進路を明確にイメージできるように学生を指導します。その目標を果たすためには、基礎をなおざりにできるはずがありません。

 当たり前ですが、中高レベルの授業ばかりをやっているわけではありません。むしろ、基礎教育の授業は、学生にその先の専門教育を意識させるために、専門知識を極めたベテラン教員を充てているのです。

 例えば『週刊ポスト』の記事で取り上げられた「アルファベットの書き方」は、90分間、ずっと書き方だけ教えているわけではない。英語史を専門とする教授が、文字の成り立ちなどにまで幅広く解説しています。学生たちは、言語の発展の歴史・経緯について、興味を持って聞くようになります。

 ちなみに、『ポスト』が「マナー教室」と揶揄していた日本語の授業は、留学生対象のものです。さすがにそこまで学生のレベルは落ちていないことをこの場を借りて断わっておきます。

「バカ教育で大学への補助金(税金)を無駄遣いしている」という批判があることも知っています。しかし我々は、勉強嫌いになった状況を放置され続けた学生を受け入れ、高等教育を受ける意欲を取り戻させることまで請け負っているのです。そうした批判はお門違いではないでしょうか。

※1998年に「中学校学習指導要領」が改訂され、「文字指導に当たっては、生徒の学習負担に配慮し筆記体を指導することもできる」となったため、筆記体を教える必要がなくなった。

※週刊ポスト2011年10月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン